事業計画、建物の企画、設計、建設から完成後の建物管理、運営までの事業全体を一括してデベロッパー等の専門会社に委託するのが事業受託方式です。
よく目にするものとして「30年一括借り上げ」で安心の経営ができます!・・・みたいな感じでしょうか?
ハウスメーカーやゼネコンなどの建築屋さんによく見られる手法でしょう。
建物建築で利益を得る業種からの提案が多くあるようです。
建築後の不動産の管理を関連の不動産会社が行うことで、関わりは続きますが、実際の客付けや入居率で苦戦するケースが多く見受けられます。特に最近・・・すなわち建築直後の『築浅』物件の間は入居率も高いが、その後は苦戦する傾向があるので建築の企画については注意が必要です。!
また、築年数が経過した物件は、すでに放置されているような状況もあり、メンテナンスなどの費用も今後必要になることが予想され、益々収益の悪化が考えられる状況です!
十分に先を見据えた判断が必要です!
事業を一括して受託・委託するため建物を一括賃貸する場合が多く、安定収入が期待でき、管理運営の煩わしさはありません。
但し、事業受託方式は一括委託のため各種業務内容が見えにくい点と賃貸においては借上げ転貸の方式であるため賃料収入は市場賃料の70〜80%前後になります。
この事業受託方式は現在も多く宣伝されていますが、所有者の背負うリスクと比較して受託者の背負うリスクが少ないため、全てを任せると言うやり方には、土地所有者と事業者の信頼関係が重要であると考えます。
テレビCM等で、「全部任せて安心」というのはほとんどがこの「事業受託方式」であると思いますが、賃貸市場等が好調な時や建築直後の時点では、受託方式で建築した賃貸物件も競争力があるため引き受けてが多いが、数年すると、賃料の設定や値下げ問題で、事業者とよくもめるケースも多く見受けられます。
事業受託方式については、「建築後」を見据えて、しっかりと判断する眼が必要だと考えます。
事業受託者からの報告を鵜呑みにしたり、わからないからと言った対応でなく、自分自身の判断できる情報をきちんと入手するということです。
大手会社が事業受託方式を多く採用していますが、出される書類・書式は立派ですが、実際の中身については非常に不透明です。その不透明さに気づくのは、およそ10年以上経ってから!
なぜか?
賃貸物件による土地活用も、10年も経つと状況・市況が変化してきて収益が落ちてくるからです。収益が落ちれば、地主さんに支払う賃料の値下げをしてきます。その時に、「我に返る」ケースが増えています。
事業受託方式は金融機関やゼネコン等が一緒になってやってきますが、将来的な不安の全てが解消されるわけではありません。
あなたの立場からの話をきちんと聞いてみてください!
また、この方式で特に注意して頂きたい項目を追加しておきます。
それは、金融・建築・管理が一体となっているため、土地所有者・活用する主体の所有者の財務状況が丸見えと言うことです。何を言っているのかと言うと、事業計画自体が、土地等の担保余力限界で設定されるケースがあると言うことです。
何もそこまで借金背負わなくてもいいのでは・・・と言うくらいの規模になるケースがあります。
それを基にシュミレーションをするので、全てが、限界ぎりぎりでの設定になることがあるのです。
金融機関が絡んだ時、建築側から金融機関を紹介される場合も同様のケースが多々ありますので、事業規模に十分注意して下さい。
最近の相談は、それに追加して、相続対策・節税と言ったキーワードを入れてくるケースが多くあります。
本当にそれだけの土地活用の事業規模が必要なのでしょうか?